ひざ関節の痛みを予防!

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生活習慣の改善で「ひざ関節の痛みを予防!」

Q

「最近、歩くときにひざに痛みを感じます。布団の上げ下げや階段が辛くなり、とても心配です。60歳なので、老化現象でしょうか?対処法を教えてください」

A

「痛みの原因が“変形性ひざ関節症”の場合、関節軟骨の損傷は“金属疲労”のようなもので、老化とは異なります。傷ついた関節は治りませんが、疾患を正しく理解して上手に付き合うことで、痛みの症状を軽減できます。痛みを感じたら、早めに専門医の診断を受け、個々に応じた生活習慣と栄養バランスのよい食事を心がけること。ウォーキングや太ももの筋力アップ、ストレッチングなどの運動も大切です」

ひざの痛みは老化現象!?

<変形性ひざ関節症になりやすい人>・体重が重い人・O脚やX脚の人・スポーツをよくする人、していた人・肉体的にハードな仕事をしている人、していた人・太ももの筋力が低下している人・慢性関節リウマチや痛風、偽痛風などがある人・ひざやひざのまわりに大きなケガをしたことのある人

 ひざの調子が悪いという人は、一般的に“ひざの痛み”を訴えますが、その具体的な内容はさまざまです。歩くと痛む人もいれば、走ると痛む人もいます。階段が辛いという人もいますし、正座ができない人もいます。また、ひざが腫れる、ひざが伸びない・曲がらないという人もいます。このように“ひざの痛み”は千差万別ですが、多くの人は年齢や疲れのせいでときどき痛みを感じるだけで、病気ではないと勝手に判断することが多いようです。
  ひざの痛みの原因の一つとして知られる「変形性ひざ関節症」は、中高年に多いために老化現象と誤解されがちですが、間違った使い方により起こるひざ関節の病気です。ですから“老化現象だから治らない”とあきらめたり、“年のせいだから仕方ない”と痛みを我慢する必要はありません。

「老化」とは、年をとることによって生理機能が衰えてくることをいいます。変形性ひざ関節症の場合、関節軟骨の損傷はいわば“金属疲労”のようなもので老化とは異なります。その原因は解明されていませんが、上のような人は、変形性ひざ関節症になりやすい傾向があります。とはいえ、毎日適切な手入れをして大切に使っていれば、健康な状態を長く維持できるのです。痛みを感じたら、まず専門医の正しい診断を受けることが大切です。

ひざの健康を守る「関節軟骨」の構造

図1 関節軟骨の構造 プロテオグリカンは、その材料となるヒアルロン酸を中心に、コンドロイチン硫酸やコアたんぱく(核となるたんぱく)などが結合している 参考資料:『専門医が治す!ひざの痛み』(高橋書店)

 骨の断端を覆っている関節軟骨は、わずか3〜5ミリメートルの厚さしかありませんが、骨が受ける衝撃を吸収したり、関節を曲げ伸ばしするときの摩擦を防ぐ働きをしています。走ったり、飛び跳ねたりできるのも、健康な関節軟骨の働きによるのです。
  関節軟骨は強靭な「コラーゲン線維」が網目状の骨組みをつくり、その中に「プロテオグリカン」という物質が絡みつき軟骨細胞を取り囲む構造になっています(図1)。

関節が滑らかに動く仕組み

 関節の主成分プロテオグリカンは水分とくっつきやすい性質があり、関節液に含まれる水分と栄養分を軟骨細胞に与える働きをしています。また、関節へ圧力がかかると、保持していた水分を放出して関節軟骨を変形させ、圧力をうまく分散・吸収させる働きもしています。そのほか、関節軟骨の下で土台の働きをしている硬い骨「軟骨下骨」の役割も重要です(図2)。
  関節軟骨は血管が通っていないため、血液の代わりに関節液が関節軟骨に栄養を与えています。関節軟骨は水分をたっぷり含んだスポンジのようなもの。関節にかかる圧力の変化により、関節液中の栄養分や水分が吸収されたり排出されたりし、関節軟骨は柔軟性と緩衝性、表面の滑らかさを保っています。つまり、日常の歩いたりひざを屈伸させたりする運動が、関節軟骨に栄養を与え、スムーズな動きを可能にしているのです。

図2 関節にかかる圧力を分散させる関節軟骨の仕組み 軟骨下骨は関節軟骨の“縁の下の力持ち”。関節軟骨にかかった圧力を受け止めている 関節に圧力がかかると、関節軟骨に含まれていた関節液がにじみ出て変形し、圧力を分散・吸収 圧力がなくなると、関節軟骨は再び関節液を吸収し、元の形に戻る 参考資料:『専門医が治す!ひざの痛み』(高橋書店)

変形性ひざ関節症の進行

 ひざ関節に過大な負担が繰り返しかかり、関節軟骨の表面に小さな傷がついたり、劣化したりして軟骨変性が起こり、衝撃吸収力が低下する過程が変形性ひざ関節症の「前期」です。自覚症状も少ないため診断確定が困難な段階です。「初期」段階では、コラーゲン線維の骨組みが壊されてプロテオグリカンが失われ、関節軟骨がすり減っていきます。軟骨下骨の一部に荷重が集中して厚くなり、骨棘なども形成され、負荷がかかると痛みを感じるようになります。
  さらに軟骨のすり減りが進む「進行期」では、ひざの変形やO脚などが目立つようになり、関節に慢性的に水がたまったり、日常生活にも支障が出てきます。関節軟骨が完全にすり減ってしまう「末期」になると、軟骨下骨が露出するようになり痛みが持続し、外出もままならない状況に。活動レベルが低下するため、精神的ストレスや肥満も懸念されます。
  そうなる前に、生活習慣の改善で早めに対応することが大切です。

図3 変形性ひざ関節症の進行段階 〈前期〉痛みの原因がわからず、放っておくことも多いが関節軟骨が劣化を始めている〈初期〉走ったときや階段の上り下りなどで痛むことが多くなる〈進行期〉少しずつO脚になり、スポーツの続行が困難に。日常生活にも支障が出る〈末期〉O脚などの変形や可動域の制限が目立ち、痛みが持続。杖や手すりが必要 参考資料:『専門医が治す!  ひざの痛み』(高橋書店)

運動療法で痛みをすっきり

 関節軟骨の傷や変形を治すことはできませんが、ひざと上手に付き合うことで痛みを感じずに過ごすことができます。次の筋力トレーニングやストレッチングを習慣にし、ひざがよく動くように手入れを続けることが大切です。

★太ももの「筋力トレーニング」★

 太ももの前にある大腿四頭筋は、常に体重を支えて関節軟骨の負担を軽くしています。太ももの筋力をアップして、関節軟骨に負担がかからないようにしましょう。

<太ももを鍛える筋力トレーニング>@片足のひざを伸ばし、椅子の高さくらいに脚を上げて10秒間保持。足首は手前に曲げても伸ばしてもよいA脚を静かに下ろしたら3〜5秒間休み、20回繰り返す。反対側の脚も同様に行う※ひざをまっすぐに伸ばすと痛みがある場合は、軽く曲げたまま行ってもよい

★柔軟なひざに「ストレッチング」★

 ひざが曲がらない、伸びないという症状は、痛みでひざを使わなくなった結果、ひざ関節周囲の筋や腱などが短縮し、柔軟性が失われて起こります。痛みのない範囲でゆっくりストレッチングを行い、ひざの動く範囲を広げましょう。

<ひざを柔らかくするストレッチング>@ ひざを伸ばす ひざのお皿の上を少しずつ両手で押していく。次第に脚の裏側が突っ張ってくるが、ゆっくりとひざを伸ばしていき、痛みが出そうになったらやめて、30秒間静止するA ひざを曲げる 机などにつかまりながら、正座するときのようにひざをゆっくりと曲げていく。次第に太ももの前が突っ張ってくるが、痛みが出る直前でやめて、30秒間静止する

★持久力を高める「ウォーキング」★

 歩くことはいつでもどこでもできる安全な運動療法です。毎日8000歩を目標に、平坦な道を“痛みなしに歩く”ようにしましょう。
  治療中の場合の運動は、必ず主治医に相談してから行いましょう。

食生活を見直して関節軟骨を健康に!

<太らないための食生活の基本>・ 毎日30種類の食品で栄養の偏りを防ぐ・ 毎日3回の食事を規則正しく摂る・ 早食いは禁物。よく噛んで食べる・ いつも「腹八分目」を心がける・ 朝食はしっかり、夕食は軽く・ 寝る前の2〜3時間は食べ物を口にしない・ 間食はしない。口寂しいときには低カロリーのものを・ 主食よりも高カロリーのおかずを減らす

 食生活では栄養バランスに気をつけて、過食をしないことが大切です。食べ過ぎと運動不足による肥満はひざに余計な負担をかけ、軟骨のすり減りを進行させます。1日3回の食事を欠かさず、毎日30種類の食品を摂取することで栄養の偏りを防ぎ、そのうえで関節軟骨の健康に役立つ栄養成分も摂取するようにしましょう。
  生命を維持するエネルギー源であり、骨や筋肉、血液などの材料となるタンパク質が不足すると、正常な代謝が行われず、ひざにも悪影響を及ぼします。大豆製品や卵・乳製品など良質のタンパク質を摂取しましょう。

また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや軟骨を丈夫にするビタミンC、代謝を助けるビタミンB群、骨の成長に不可欠なビタミンA、細胞の酸化を防ぐビタミンEなどのビタミンや各種ミネラルも、体の生理機能を正常に保つために必要です。
  また、近年注目されているグルコサミンとコンドロイチンは、関節軟骨の主成分であるプロテオグリカンの材料となる成分です。そのメカニズムは明らかにされていませんが、グルコサミンやコンドロイチンの経口摂取を運動療法と併用することで、関節軟骨の健康に役立つことが期待されています。
  ひざの痛みを予防・改善するには、上の食習慣を実行して肥満を防ぎ、ひざの機能を正す(動かし、歩く)ことが大切です。生活習慣の改善と運動療法で、痛みなく歩ける毎日を目標にしましょう。

監修/星川 吉光先生
監修/星川 吉光先生 林外科病院整形外科部長

1947年東京都生まれ。1973年東京大学医学部卒業。整形外科医員、1977年ニュージーランドのオークランド大学留学後、1979年東京大学医学部整形外科助手。1984年都立台東病院スポーツ整形外科医長、1993年都立府中病院整形外科部長を経て、聖路加国際病院整形外科部長。現在、林外科病院整形外科部長。日本整形外科学会専門医、日本関節鏡学会理事、日本整形外科スポーツ医学会評議員、日本臨床スポーツ医学会評議員。
(2010年現在)

著書紹介 専門医が治す!ひざの痛み 高橋書店
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