ニュースリリース

食品と人間の健康に関する科学的研究を通じて「健康科学研究所」は、健康づくりのお手伝いをしていきます。

ニュースリリース

No.12443   (2015.8.5)

第33回日本美容皮膚科学会 総会・学術大会で発表
“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”に関する
肌への有効性を確認
― 保湿やハリなどに加えて、美白やブライトニングにも有効性 ―
― さらにエラスチンペプチド、プロテオグリカンと組み合わせることによって、
より高い有効性を確認 ―


 サントリー健康科学研究所(所長:柴田浩志、京都府相楽郡精華町)は、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド※1”に関する有効性を確認し、第33回日本美容皮膚科学会 総会・学術大会(2015年7月25〜26日、大阪府)にて発表しました。

今回の発表演題と発表者は以下の通りです。

▼発表演題(計3題)および発表者

  1. 発表演題 「Pro-Hyp、Hyp-Gly高含有コラーゲンペプチドの美白・ブライトニング作用に関する検討」
発表者 岡田恵、北原望、飯野妙子、中井正晃、泉玲子、伊地智節、柴田浩志
  2. 発表演題 「ヒト皮膚線維芽細胞におけるコラーゲンペプチド、エラスチンペプチド及びプロテオグリカンの併用効果の検討」
発表者 北川小百合、飯野妙子、北原望、泉玲子、伊地智節、柴田浩志
  3. 発表演題 「Pro-Hyp、Hyp-Gly高含有コラーゲンペプチド配合食品の肌状態改善効果に関する検討」
発表者 北原望、岡田恵、中井正晃、伊地智節、柴田浩志
  ※1 活性成分PO・OG(プロリルヒドロキシプロリン:Pro-Hyp・ヒドロキシプロリルグリシン:Hyp-Gly)の含量が多いコラーゲンで当社独自の呼称

【研究の背景】
サントリー健康科学研究所では、長年、女性の肌と加齢との関係について研究を進めてきました。
肌を構成する主要な成分であるコラーゲンの中でも、存在することが近年明らかになったPO・OGという活性成分に着目し、PO・OGの濃度を高めた新しいコラーゲンの開発に成功しました。一般的なコラーゲンには保湿やハリなどの有効性が報告されていますが、今回我々は“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”において新たに美白・ブライトニング効果やその他の美容成分を組み合わせた場合の有効性を確認するために、以下の実験を行いました。

1.発表演題 「Pro-Hyp、Hyp-Gly高含有コラーゲンペプチドの美白・ブライトニング作用に関する検討」

<実験1>“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”を用いた美白・ブライトニング評価
本研究では、30〜50代の女性で、顔にシミが認められた66名を対象に、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”5,000mgを1日1回、8週間の継続摂取をしていただきました。
評価には、顔の皮膚画像解析カウンセリングシステムVISIA※2、VAS(Visual Analogue Scale)法※3を用いました。

※2 被験者の顔の皮膚状態を定量化、解析するために用いられるシステム。
※3 被験者の主観的現象を定量化するために用いられる手法。今回、長さ100mmの直線の一端を「全く気にならない」、もう一方の端を「非常に気になる」と設定。被験者自身が感じる悩みの程度を直線上にマークし、「全く気にならない」の点を起点としてマークした箇所までの長さを測定して数値化した。数値が低いほど、被験者の感じる悩みが少ないと評価される。
実験3でも用いており、そこでは長さ100mmの直線の一端を「これまで経験した中で最も感じない」、もう一方の端を「これまで経験した中で最も感じる」と設定し同様に評価。

<結果1>
“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”を摂取することにより、シミの低減(図1)、肌の透明感の改善(図2)が認められました。

図1.VISIAにより測定したシミの量の変化

図2.VAS法を用いて評価した肌の透明感の変化

2.発表演題 「ヒト皮膚線維芽細胞におけるコラーゲンペプチド、エラスチンペプチド及びプロテオグリカンの併用効果の検討」

<実験2>“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”とエラスチンペプチド、プロテオグリカンの併用効果確認
本研究では、成人由来の皮膚線維芽細胞※4を用いて、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”、エラスチンペプチドおよびプロテオグリカンを組み合わせることによる効果を評価しました。

※4 コラーゲンやヒアルロン酸などを作り出す細胞

<結果2>
“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”、エラスチンペプチドおよびプロテオグリカンの3成分を組み合わせることにより、細胞増殖促進作用を確認したとともに、ある一定の濃度での組み合わせにより、I型コラーゲン※5の産生促進作用(図3)やI型コラーゲン遺伝子COL1A1※6の発現促進作用(図4)を有することを見出しました。細胞増殖促進作用やI型コラーゲンの産生量は加齢により低下することが知られているため、本組み合わせには、加齢による皮膚状態の変化を改善する可能性が示唆されました。

※5 皮膚の真皮を構成するコラーゲンのうち約80%を占め、皮膚の強度を保つために重要と言われているコラーゲン
※6 I型コラーゲンの産生を担う遺伝子

図3.I型コラーゲン産生促進作用の評価

図4.I型コラーゲン遺伝子COL1A1発現量

3.発表演題 「Pro-Hyp、Hyp-Gly高含有コラーゲンペプチド配合食品の肌状態改善効果に関する検討」

<実験3>“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”含有食品の肌状態改善効果確認
本研究では、30〜50代の女性で、肌のたるみ、シワ、くすみが気になると感じている111名を対象に、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”とエラスチンペプチド、プロテオグリカン等を配合した美容食品(以下、被験食品※7)を1日1回、12週間の継続摂取をしていただきました。そのうち、本学術大会では肌のたるみの悩みが深刻ではない31名の解析結果を中心に報告をしました。(被験食品群:16名、プラセボ食品群:15名)
評価には、VAS法およびシワレプリカ解析※8を用いました。

※7 1日あたり6.5gを摂取。被験食品6.5g中には、コラーゲンペプチド(“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”含有)5,000mg(PO・OG4,400μg)、エラスチンペプチド1,000μg、プロテオグリカン500μg、セラミド1,200μgおよびビタミンC50mgなどを含有しています。
※8 顔の一部からレプリカを作成し、画像解析によってシワの個数等を解析。

<結果3>
VAS法を用いて評価した結果、肌のたるみに関して、摂取前と比較して、摂取後4週目、8週目、12週目に改善が認められました(図5)。また、シワの個数も同様に、12週目に被験食品群はプラセボ食品群と比較して有意に低下しました(図6)。
この結果、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”を配合した食品は、肌のたるみに関する主観的な評価およびシワの個数に関する客観的な評価において、継続摂取による改善効果が確認されました。

図5.VAS法で評価した たるみの変化

図6.シワレプリカ解析によるシワの個数の変化

<結論>
我々が独自に開発した“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”が、コラーゲンにおいて従来から知られている保湿やハリなどの有効性以外に、美白やブライトニングにも寄与する可能性を明らかにしました。また、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”とエラスチンペプチド、プロテオグリカン等をある一定の濃度で組み合わせることによって、より高い有効性を確保することを解明し、これらを含む食品においても、継続摂取により肌のたるみの改善やシワの個数の低下を示すことが明らかになりました。これにより、“高濃度PO・OGコラーゲンペプチド”が加齢による肌状態の低下を抑制することが期待されます。

▼日本美容皮膚科学会について
 健全な美容皮膚科学の発展を目標として、美容皮膚科学に関する研究および、その研究成果の普及、ならびに会員相互の交流をはかることを目的として設立された学会です。



以上