記憶を司る脳の海馬は、中高年になると1年で1〜2%縮小するといわれていますが、速歩を続けると2%容積が増えるという報告があります。インターバル速歩は筋トレとしても効果的で、生活習慣病予防にも役立ちます。
社説の内容を理解しながら、同時に別の作業をすることで、脳のワーキングメモリー機能をフル活用。ほかに100から7を順に引いていく、1000から17を引いていくといった計算も、手軽なワーキングメモリーのトレーニングになります。
相手のいいところを探そうとすると、感情などを司る前頭葉が活性化します。会話の時に相手のいいところを探そうと意識して話すと、ワーキングメモリー機能が改善するとの報告もあります。相手も気持ちがよく、よりよい人間関係につながります。
レジャーは特に頭や体は使わなくとも、脳を楽しく刺激して、認知機能の低下予防に役立ちます。ジグソーパズルやゲームは頭を使い脳を活性化させます。特に対戦型の囲碁や将棋などは、人との交流する楽しさも加わります。
右手で鼻を、左手で右の耳をつまみます。一拍で、左手で鼻を、右手で左耳をつまみます。それを交互に十拍まで続けましょう。机の上を右手でスリスリ、左手でとんとん。5回やったら入れ替えるという繰り返しもいいでしょう。体を使ったワーキングメモリートレーニングです。
高い目的意識を持つことは、認知機能の維持に役立つことが報告されています。私たちの脳は思っている以上に社会的です。世のため、人のためを考えた行動はモチベーションが維持しやすく、続けることで高い達成感も得られます。
脳科学者・諏訪東京理科大学教授(脳システム論)。東京大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。多チャンネル近赤外線分光法を使って日常的な脳活動の研究に取り組み、アミューズメント、教育、自動車産業との共同研究や、テレビや雑誌などでの解説・実験監修も多い。著書に『「しなやか脳」でストレスを消す技術』(幻冬舎)などがある。