「暑さが続くせいか、どうも体調がすぐれません。だるくて疲れやすいうえ、ときどき動悸や立ちくらみをすることもあります。体が弱っているのでしょうか?」
「動悸や立ちくらみなど、さまざまな症状が現れ、疲れやすくなっているときは、自律神経のバランスが崩れている可能性があります。暑さと冷房の中で過ごすことが多いこの時期は、特に自律神経の働きが不安定になりがちです。普段の生活を見直し、自律神経の働きを安定させるさまざまな工夫をとり入れてみましょう。」
「自律神経」は、私たちの生命維持に必要な呼吸や心臓の動き、血液循環、消化吸収活動など、すべての機能をコントロールしている神経のことです。その字のとおり、意識していなくても、自然に働いています(図1)。
この自律神経には、交感神経と副交感神経という、対照的な働きをしている2種類の神経があります。交感神経は、心身を活動させるための神経で、おもに昼間働きます。一方、副交感神経は、昼間の緊張をゆるめ、心身を休息させるための神経で、リラックスしたり、夜眠っているときに働いています。
昼間に活動し、夜は眠るという生活リズムが健康の基本といわれるのも、自律神経のリズムに逆らわずに暮らそうという意味です。
交感神経と副交感神経がバランスをとりながら働き、またそのスイッチが自然に切り替わることで、活動して疲れた筋肉も内臓も脳も休息でき、機能が修復されるからこそ、私たちの健康は保たれているのです。
ところが、緊張した暮らしが続いていたり、生活習慣に乱れがあると、交感神経だけが強く働いている状態となり、副交感神経とうまく切り替わることができなくなってきます。
休息のための副交感神経がきちんと働かなければ、心身の疲れが十分にとれず、だるさを感じたり、疲れやすくなります。眠れない、朝起きられないという症状が起きることもあります。
また、交感神経が優位な状態が続くと、血管が収縮しがちになり、頭痛や肩こりが起こったり、血圧が上がって動悸や息切れなどの症状が現れやすくなります。同じように、消化液などの分泌にも影響するため、食欲がなくなったり、胃腸の働きが低下しやすくなります。
自律神経は、全身のさまざまな働きをコントロールしていますから、その働きに乱れが生じると、体のあちこちに、いろいろな不調が現れてくるのです(図2)。
さらに自律神経の乱れは、免疫の働きにも影響し、かぜなどの病気にもかかりやすくなります。
自律神経のバランスが崩れてしまう誘因には、偏った食生活や運動不足、ストレス、喫煙、夜更かしなどが挙げられます。その中でも特に大きな影響を与えているのが、ストレスです。
心身を緊張状態にしているストレスは、絶えず交感神経を興奮させているため、副交感神経との切り替えがスムーズに行われなくなります。そのため、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ(図3)、前述のような症状を招くことになります。
毎日の生活の中では、ストレスの受けとめ方や気持ちの持ち方も、自律神経のバランスを保つ上でとても大切になります。
自律神経には、日頃の暮らしぶりがすぐに反映されます。しかし、生活習慣を見直すことで、その働きを改善し、安定させることができます。そのために心がけておきたいのが、次の7項目です。
基本となるのは栄養バランスのよい食事。とくにビタミン・ミネラルはしっかりと。自律神経の安定に関わるローヤルゼリーなどをサプリメントでとり入れてみるのもいいでしょう。規則正しく3食とることも大切です。
質の高い睡眠も不可欠。睡眠時間は7時間が理想的ですが、十分にとれない場合は、決まった時刻に起床するようにすると、体内リズムが整います。
ウォーキングなど、心地よいと感じる程度の運動は、神経の緊張をほどよくほぐして、副交感神経の働きを活性化します。
笑うことで心がリラックスすると、副交感神経が優位になります。その結果、ストレスホルモンが抑制され、免疫の働きも高まります。
楽しい時間は、交感神経の緊張をほぐします。楽しみや生きがいを持っている人は、心身のリズムも安定します。
過去の失敗などにいつまでもこだわっているとリラックスできず、副交感神経がうまく働かなくなるもとです。
小さな喜びや楽しみは日常生活の中にも見いだすことができます。ちょっとした好奇心や新しい視点が、副交感神経の働きを高めます。
深呼吸をすると不思議と気持ちが落ち着きます。特に腹式呼吸の場合は深く息を吐くので、副交感神経が優位となり、リラックス効果が高まります。
- 1.おなかを意識して、鼻からゆっくり息を吐く
- 2.10〜20秒かけて息を吐き尽くす
- 3.おなかを膨らませながら息を深く吸いこむ
資料提供:安部 良
東京理科大学生命科学研究所所長、医学博士。1983年東京大学大学院修了。同大医学部免疫学教室助手を経て、米国国立衛生研究所、国立癌研究所免疫部門専任研究員としてT細胞活性化機構に関する研究に従事。米国国立海軍医学研究所免疫細胞生物学研究部門免疫部部長ならびにUniformed Services University of the Health Science医学部内科学准教授を務める。1995年東京理科大学生命科学研究所教授、2007年より現職。日本免疫学会会員。著書に『免疫のしくみ』(PHP研究所)などがある。
人類史上、最初にミツバチを飼い始めたのは古代エジプト人といわれています。 紀元前6000年ぐらいの壁画に、壷を片手に蜂の巣から蜜を採る人間の姿が描かれています。採った蜂蜜がどれほど貴重なものだったか、金に代わるくらいの価値があったといいます。また、エジプトのミイラ作りには蜂蝋(ハチロウ)とプロポリスが使われていました。ヨーロッパでもアジアでもミツバチとの関わりは古く、特に女王蜂候補の幼虫に与えられる専用ミルクであるローヤルゼリーは19世紀以降、世界中で珍重されてきました。これら蜂蜜、プロポリス、ローヤルゼリーはほとんどの人が知っていますね。これ以外にも実はたくさんあるのです。そのいくつかをご紹介しましょう。
1958年岐阜県高山市生まれ。
ミツバチ科学研究センター主任、機関誌「ミツバチ科学」編集委員、
ミツバチ科学研究センターホームページの「ミツバチへの質問」主回答者
(2009年現在)
資料出典 玉川大学「ミツバチ科学研究センター」HP
(http://www.tamagawa.ac.jp/hsrc/)