冬バテと自律神経の変調

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夏バテだけじゃない!「冬バテと自律神経の変調」

Q

「耳慣れない冬バテって、どのようになるのですか。詳しく教えてください。」

A

「寒さもいっそう厳しくなるこの時季、なんだか年々疲れが取れにくくなってきた…。そう感じることはありませんか?そのもとにあるのは、寒さやストレスなどによって起きる「冬バテ」。油断していると、春まで長引いて、自律神経の働きがどんどんアンバランスになってしまうのが、やっかいなところです。そこで、この時季に身心の疲れをいたわり、冬バテにブレーキをかける対策をお答えします。」

夏バテと冬バテの違いは…

冬は穏やかに過ごし、体力を蓄える季節

 季節の移り変わりに合わせて、私たちの体も変化しています。秋は、夏に消耗したエネルギーを補給する時季。そして冬は、春の活動に向けてエネルギーをじっくりと蓄える季節。木々が葉を落とすことで、生命力の浪費を防ぐように、穏やかに過ごすことが大切です。
 冬場、特に年末年始は楽しいイベントも多く、忙しくてもつい無理をしがちです。また飲食の機会も多く、内臓にかかる負担もいつも以上。こうした暮らしぶりが、活動モードの交感神経ばかりを働かせ、休息モードの副交感神経を働かせる機会を失わせています。
 体のコンディションを整えておきたい時なのに、体は緊張状態が続くために休まらない――。その矛盾が、冬バテを招く最も大きな要因です。


筋肉の衰えや天候も、冬バテを招く要因

 また、冬は寒さで体を動かすのがおっくうになりがちですが、やはり体力を維持するためには、適度に体を動かすことも必要です。
 筋肉は動かさないとどんどん衰えていき、体が冷えやすくなります。すると体は、熱を逃がさないように交感神経を緊張させて、全身の血管を収縮させます。寒さから身を守るために、いつも交感神経ばかりが働いて、心身をリラックスさせる副交感神経が働きにくい状態になりやすいのです。
 さらに、冬は暗くなるのが早く、気持ちも沈んでしまいがち。太陽の光を浴びている時間が少なければ、自律神経と関わる体内時計のリズムに影響することも…。そうなると、心身の疲れはますます取れなくなってしまいます。


冬バテを呼ぶ4つの要因

  • 日が短い:太陽の光を浴びている時間が少ないため、気持ちも沈みがちに。
  • 筋肉が衰える:疲れやすい上、体内で熱が十分に作られず、動く元気も不足。
  • 寒さが続く:体が冷えて血管を収縮させ、血の巡りも悪くなるばかり。
  • 気ぜわしい:神経がビリビリして気が休まらず、ますます交感神経ばかりが興奮。

自律神経のアンバランスは全身の不調の引き金に

 では、なぜ自律神経がアンバランスになると、心身の様々な不調が表れてくるのでしょうか。
 それは、自律神経が私たちの生命維持に必要なすべての機能を支える大切なシステムだからにほかなりません。体温を調整する、心臓を動かす、血液を全身に送る、食べたものを消化するといった体内の営みはすべて、下図のように交感神経と副交感神経の2つの相反する働きをする神経が、バランス良く働くことで成り立っているのです。
 それだけに、自律神経が交感神経だけに大きく偏った状態が続けば、やがて全身の機能にも影響してきます。


「冬バテ」のケアをしないと、春がつらい季節に!

 冬バテになっても、暖かくなれば改善するのでは、と思う人もいるかもしれませんが、実は逆です。
 秋は、冬の休養に向かって体自体が休もうとしますから、夏バテを引きずっていても、やがて回復します。ところが春先は、すべての生命が目覚める時。体の中では春の活動に向けてエネルギーが高まり、体そのものが休もうとしないため、疲れはなかなか取れません
 つまり、春は自然と体に生じる変化に気力と体力がついていけない状態になりやすく、自律神経の働きがますます不安定になってしまうのです。木の芽時に、自律神経失調症などの不定愁訴に悩まされる人が増えてくるのもこのためです。


交感神経と副交感神経のバランスが大事!
  • 交感神経:心身を活動に導く緊張・興奮の神経 副交感神経:心身を休息に導くリラックスの神経

5つの生活習慣を冬バテのブレーキに!

 「冬バテ」から身を守り、交感神経に偏り気味の自律神経のバランスを整えるには、意識的に副交感神経の働きを高めてあげることが大切。そのために、毎日の生活に取り入れたいのが、下記の5つの生活習慣です。
 特に呼吸と姿勢は、自律神経の状態を知る鏡でもあります。寒さやストレスで自律神経が緊張している時は、自然に呼吸は浅くなり、姿勢も前かがみになりがちに。意識して胸を広げ深呼吸することを心掛けましょう。心にゆとりが生まれ、日々の食事や装いにも自然に目が向くようになります。
 ゆったりとした気持ちで過ごし、すこやかに芽吹きの春を迎えましょう。


  • 体を温める
  • 呼吸と姿勢を意識する
  • 急に体を冷やさない
この冬、心掛けたい5つの生活習慣
  • 室内でできる運動を
    忙しい季節こそ気持ちにゆとりを持って過ごしましょう!
  • 食事は規則正しく、バランス良く