春のだるさは、体の目覚め

サントリーは健康を科学する健やかな生活のための「教えて!先生」情報をお届けします。

ご存じですか?「春のだるさは、体の目覚め」

Q

「春の体のだるさは、肝臓がフル活動しているサインって、ホントですか? 」

A

「春の陽気を少しずつ感じるこの時季になると、 “やけにだるい”と感じることはありませんか。それは、眠っていた冬の体が目覚め、活発に活動し始めたサイン。冬に溜まった老廃物などを解毒し、栄養を体に必要な形にして全身に届けるために、肝臓が必死に頑張っているためかもしれません。加えて春の肝臓はストレスによる活性酸素に晒[さら]されやすく、満身創痍[まんしんそうい]になる心配が…。そこで、春にこそ大切な肝臓のケアの仕方をお答えします。」

解毒:冬の間に溜まった老廃物や有毒物質を無毒化 代謝:活動的な春の体を支えるため、栄養を全身に送り出す働きでにわかに活発化

「解毒」と「代謝」で春の肝臓は過重労働

 肝臓は体内で最も大きな臓器で、生命維持に重要な様々な働きをしています。よく知られているのが、体に溜まった有害物質などを無毒化する働き(解毒)。そして、腸が吸収した栄養を体内で使いやすい形に作り変えて全身に送り出す働き(代謝)です。私たちの細胞が絶えず生まれ変わるのも、全身に休むことなくエネルギーが届くのも、肝臓がきちんと働いてくれるおかげです。
 本来はタフでがまん強い「沈黙の臓器」ですが、冬の間は運動不足に加え、食べ過ぎや飲み過ぎで、肝臓に中性脂肪が多く溜まりがち。肝臓の毛細血管が中性脂肪で圧迫されて血流が悪くなり、肝機能が低下しやすい状態になります。
 しかも春先は、動物たちが冬眠から目覚めて一斉に動き出すように、私たちの体も冬型から春型になり、細胞の生まれ変わりが活発になる季節。全身の「解毒」と「代謝」を担う肝臓もフル活動しなければなりません。機能が低下しているのに、急に仕事量が増えた肝臓は、過重労働になる心配があります。この時季に感じる体のだるさは、肝臓がフル活動しているサインかもしれません。
 さらに、春は気温や気圧が上下しやすいうえ、新しい年度の始まりなどで何かとあわただしくなるシーズン。自覚することは少ないかもしれませんが、こうした季節や環境の変化による心身のストレスも、実は肝臓を疲弊させてしまう大きな要因となります。

春の不調の原因は・・・心身のストレス 春の体の目覚め 冬の食べ過ぎ・飲み過ぎ → 活性酸素が発生 肝臓が急にフル活動 肝臓機能が低下 肝臓に負担がかかり過ぎると、こんな不調が・・・ 髪がばさつく だるい 便秘がち 肌にツヤがない 疲れやすい 

春のストレスがダメージに追い打ち

 ストレスが体内の活性酸素を増やすことはよく知られていますが、大量の血液が流れ込む肝臓は特に活性酸素によるダメージを受けやすい臓器。その活性酸素の発生に大きく関わっているのが、血液中の白血球です。
 白血球は本来、細菌やウイルスなどの外敵から体を守ってくれる免疫の要です。ところがストレスを受け続けると、自律神経のバランスが乱れ、白血球が不良化。活性酸素を放出して肝臓の毛細血管や肝細胞を攻撃してしまうのです(下図)。
 こうした活性酸素の害から身を守るため、肝臓には活性酸素を無害化する抗酸化酵素が備わっていますが、その量は40歳過ぎから減少していくことが分かっています(下グラフ)。
 それだけに、年齢を重ねるほど、春先の肝臓にはいっそう気を配る必要があります。

ストレスが肝臓の活性酸素を増やすしくみ 白血球には顆粒球やリンパ球などがありますが、ストレスが多いと顆粒球が硬く大きくなり、割合も増えて、肝臓の毛細血管に詰まりやすくなります。詰まった顆粒球は敵に捕まったと判断し、攻撃するため活性酸素をどんどん放出します。 肝臓の毛細血管では・・・ 正常 リンパ球と顆粒球のバランスが4:6の健康な白血球 ストレスがかかると・・・ 不良化 活性酸素を放出する顆粒球の割合が増える 活性酸素で肝臓の毛細血管がダメージを受ける! 抗酸化力は40歳過ぎから、急激に減少!

「沈黙の臓器」だからこそ肝臓のケアが大切

 心掛けたいのは、肝臓の働きを高める生活習慣と、活性酸素の害を最小限に抑える工夫です。
 特に大切なのが食生活。肝細胞を修復するために不可欠なタンパク質やビタミン類は十分に。逆に糖質や脂質の摂り過ぎは、肝臓の働きを低下させるもとなので控えめに。そして、ポリフェノールなどの抗酸化成分を含む食品を積極的に摂って、体内の抗酸化力を高めておきましょう。
 また、軽い運動や入浴は肝臓の血流を促し、ストレス解消にも効果的。まずは、下記に挙げた7カ条から始めてみましょう。

肝臓に注意が必要なのは、男性だけじゃない!  近年、女性の脂肪肝が増えていることをご存じでしょうか。原因の多くは糖分の摂り過ぎ。男性よりも肝臓が小さいため処理能力が低いうえ、40〜50代からは肝臓を守る働きのある女性ホルモンが減少します。 また、極端なダイエットも、エネルギー不足を補おうと肝臓が体内から脂肪を集めるため、脂肪肝になりやすいので要注意です。

肝臓をいたわる生活習慣7ヶ条 1:入浴や蒸しタオルなどで肝臓を温める 2:タンパク質とビタミン類は十分に 3:活性酸素の害から守る抗酸化成分をしっかりと 4:散歩や軽い運動で血流アップ 5:喫煙は控える 6:自律神経を安定させる成分も上手に 7:糖質、脂質は摂り過ぎない ほどほどに 生命活動の肝心要となる臓器。上手にいたわり、元気に春を過ごしましょう!