疲れの正体は活性酸素

サントリーは健康を科学する健やかな生活のための「教えて!先生」情報をお届けします。

最新研究で分かってきた 「疲れの正体は活性酸素」

Q

「最近、耳にしたのですが、疲れのもとに“活性酸素”が深く関わっているって、ホントですか?」

A

「疲れると、疲労物質の乳酸がたまる――。こんな話を聞いたことがある人は多いかもしれません。ところが近年、乳酸は疲労物質ではなく、むしろエネルギー源であることや、疲れのもとには“活性酸素”が深く関与していることが分かってきました。疲労のしくみと正しい対処法についてお答えします。」

疲れの正体は君だ!

疲れとは何か?

体が発する休息のメッセージ
 ひと口に疲れといっても、その種類は様々です。運動などによる身体的な疲れ、ストレスなどによる精神的な疲れ、免疫力の低下などによる疲れがあり、実際はこれらが複合的に絡み合っていると考えられます。
 一般的に、疲れはよくないというイメージもありますが、“休みなさい”という体が発するメッセージであり、生きていくために必要な警報です。

疲れに深く関わる「活性酸素」
 では、疲れている時に体の中ではどんなことが起きているのでしょう。実は、疲れの発生の際に中心的な役割を果たしているのが「活性酸素」です。
 私たちの細胞には血液によって栄養と酸素が運ばれ、その栄養を酸素で燃やして、活動のためのエネルギーをつくっています。酸素が燃える時に生じるのが活性酸素です。活性酸素は増え過ぎると細胞をさびさせて老化を進めますが、通常は体に備わっている抗酸化力が働いて、過剰な活性酸素を除去しています。
 しかし、活動量が増えたり、ストレスや環境から心身に負担がかかったりすると、そのぶん細胞はがんばらなくてはならず、多くの酸素を使ってエネルギーをつくろうとします。その結果、活性酸素も大量に発生。体内の抗酸化力が追いつかず、細胞自体がさびついていきます。そうなると、細胞の中で栄養をスムーズに燃やすことができず、エネルギーの産生が落ち、疲れを感じるようになります。

  • 活性酸素が増え過ぎると…活性酸素によって細胞自体がさびつき機能低下に陥る。栄養をうまく運んだり燃やしたりすることができず、エネルギーの産生が落ちてしまう。
  • 抗酸化力が働いている時は…細胞内の機能がしっかり働き、運ばれた栄養を酸素で燃やして、活動に必要なエネルギーを産生する。

疲れを放置しているとどうなるか?

休んでも回復しない慢性疲労の入り口に
 通常の疲労なら十分な睡眠や休息をとれば、やがて回復します。休んでいる間に細胞の新陳代謝が行われ、さびた細胞の修復や交換により、十分なエネルギーがつくられるようにリセットされるからです。
 しかし、何かと慌ただしい現代社会。疲れを感じていても、そのまま放置したり、無理をしたりして、疲労をため込んだままの人も少なくありません。そうなると、細胞のさびがさらに広がり、疲れは慢性化してたまる一方です。
 特に持病などがないのに、下記の症状が増えてきたら、疲れが慢性化しているサインと考えられます。積極的に疲労回復のための時間を設け、休息をしっかりとりましょう。

疲れを放置していると慢性疲労や病気の入り口に!
こんな疲れが増えてきたら要注意!  精神的・神経的な疲れ ● 思考力が低下している● よく眠れない● ゆううつな気分になる● 自分の体調に不安がある● 働く意欲がおきない● ちょっとしたことが思い出せない● まぶしくて目がくらむことがある● ぼーっとすることがある● 集中力が低下している● どうしても寝過ぎてしまう 身体的な疲れ ● 微熱がある● 疲れた感じ、だるい感じがある● ちょっとした運動や作業でもすごく疲れる● 筋肉痛がある● このごろ体に力が入らない● リンパ節が腫れている● 頭痛がある、頭が重い● 一晩寝ても疲れがとれない● のどの痛みがある● 関節が痛む 心当たりのある項目が多いほど、疲れが慢性化している心配があります。

疲れをためない生活の工夫とは?

よりよい疲労回復と予防のために
 疲労の回復には、軽い運動や栄養補給、緑の香りや音楽などが有効であることは、様々な研究により科学的に実証されています。特に体に備わる抗酸化力は、加齢とともに低下する傾向があるので、栄養補給では栄養バランスとともに、抗酸化成分を様々な食品から補う工夫が大切です。
 また、嫌なことがあった時、深刻に悩む人と受け流せる人がいますが、疲労度と「気の持ちよう」には明らかな因果関係があります。
 そこで、ぜひ日ごろから心掛けていただきたいのが、下の3つのキーワード。生活の中に上手に取り入れ、疲れをためにくい体をつくりましょう。

疲れを軽くする3つのキーワード 抗酸化成分:抗酸化成分を積極的に摂り、体内の活性酸素を除去するちからを高めておきましょう。抗酸化成分は、緑黄色野菜に含まれるビタミンA・C・E、ゴマのセサミンなどがよく知られています。 森林浴:森林の緑の香りは、疲労を和らげリラックスに導いてくれます。また作業効率の低下を抑える効果があることも分かっています。 ポジティブ思考:物事をポジティブに捉えることは、最大のストレス対策。また「笑い」も気持ちを明るくし免疫力を高めてくれる大切な要素です。 元気の維持には、疲れをためないための“活性酸素対策”が欠かせません!