もっともっと目を大切に!

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生きていく上で最も重要な感覚器「もっともっと目を大切に!」

Q

「目は重要な感覚器といわれていますが、目の健康について教えてください。」

A

「目はいつまでも見えるもの。誰もがそう思っているものですが、老化や障害は誰にでも起こる可能性があります。今まで普通に見えていたものが、突然かすんだり、見えなくなってしまうことを、想像したことがありますか?普段からもっと目の大切さを理解し、目をいたわる習慣をもちましょう。」

眼球のしくみ(断面図)

脳の情報の80%以上を集めるデリケートな器官

パソコンを使ったデスクワークに(VDT作業)における身体的な疲労や症状の内容

 本来、生物が生きていくためには、敵や周囲の情報をいかに早く的確にキャッチできるかどうかが重要です。嗅覚や聴覚も大切な情報源ですが、目は「脳の出張所」といわれる大切な感覚器。脳に送られる情報の80%以上は目から入るともいわれています。
 もし目の機能が低下してしまうと、日常生活への影響は想像以上に大きく、それだけに、目の健康には日ごろから十分に注意する必要があります。
 目のしくみはカメラとよく似ています。ものが見えている時には、毛様体筋がレンズである水晶体の厚みを逐一調節しながらピントを合わせています。
 特に携帯電話のように、画面がチラついたり、表示される文字が小さい場合には、よく見ようと凝視するため、それが目にとって大きな負担になっていることが少なくありません。
 また、パソコンを使う時間が長い人や、1日中テレビ画面を見続けている人も要注意。液晶画面にピントをずっと合わせなければならない日は、目はヘトヘトになっています(右グラフ)。


画面を見続ける生活でまばたきが減っている

まばたきの回数を比べてみると…

 何かを集中して見ていると、まばたきの回数が減ってきます。普通は1分あたり平均22回ですが、テレビやパソコンなどの画面を見つめている時は、まばたきの回数は半分以下になることが分かっています(右図)。まばたきには涙を目の表面に行き渡らせて、角膜に栄養を与えたり、乾燥から守る役割がありますが、回数が減れば目が乾燥し、いわば肌荒れのような状態となって目に違和感が生じ、その結果、目が疲れると感じます。
 また、ストレスも目には大敵。涙の分泌が抑制されるため、さらに目が乾きます。この乾燥こそ、現代人の目の疲れの大きな原因です。


目の疲れはそのまま心身の疲れに影響

目の疲れと涙は密接に関係

 目が疲れるということは、その情報を受け取っている脳も疲れているといっても過言ではありません。その結果、頭痛や肩こりが生じたり、集中力や注意力が低下するなど、様々なトラブルを引き起こします。特に現代人に増えている精神疲労の背後に、目の乾きや疲れがあることも多いようです。
 目の疲れは、心身の疲労感にまでつながっているのです。


目の不調の陰に潜む病気にも注意

 目の疲れに加え、加齢とともに現れてくるのが老眼です。この老眼は、老眼鏡をかけることで矯正できますが、気をつけたいのは、加齢に伴って起こる様々な病気です(下図)。
 生活習慣病との関わりなどで、血糖値の高い人は特に注意が必要です。目は毛細血管が集まる器官なので、血液中にあふれた糖が血管の内壁を傷つけ、網膜を損傷してしまいます。糖尿病性網膜症で重い視覚障害や失明に至る人が年間約3000人以上(厚生労働省調べ)と報告されています。
 このように、加齢で血管が老化するとともに網膜にも様々なリスクが重なっていきます。その分、目を大事にする心がけが大切になってくるのです。

加齢とともに増えてくる主な目の病気と初期のサイン

生活環境や食生活も大切

 目の健康管理には、休息やリラックスを心がけるとともに、部屋の照明は明るめにする、エアコンによる乾燥を防ぐ、テレビやパソコン画面を長時間見続けないなど、目にやさしい環境作りが大切です。
 また食生活では、栄養バランスを心がけるとともに、目に良いといわれる栄養成分を積極的に摂りましょう。目は一生付き合っていく感覚器なので、十分にいたわってください。

目の健康のために摂りたい成分
気になるお悩みに坪田先生がお答えします最近夜になると目が疲れます。楽になる方法はありませんか?(55歳・男性)
A

 疲れ目の主な原因は、ドライアイと矯正不良です。加齢とともに涙の分泌量が減るなど、知らず知らずにドライアイになっている人がいます。ドライアイになると非常に目が疲れるため、昼間からの目の疲労も夜にはピークに達します。
  疲れを少しでも軽くするには、まず、目を乾かさない工夫を。防腐剤の入っていない点眼液を利用しても良いでしょう。僕がしているような「ドライアイ保護メガネ」や「PCメガネ」で目を守ることも一案です。
 また、パソコンや編み物など、目を使う作業中はこまめに目を休めましょう。蒸しタオルで目を温めたりするのも、疲れ目の症状を楽にする方法です。
 また、度が合わない眼鏡やコンタクトレンズを使っている人が意外に多いことが分かっています。病気の有無も含めて一度、眼科で検査を受けましょう。

なぜ歳を重ねると、目の不調や病気が増えてくるのでしょうか?(43歳・女性)
A

 目は特に老化の影響を感じやすい器官といえます。老化の大きな理由として活性酸素が挙げられます。
 光を取り入れることを仕事にしている目は、体内の活性酸素を増やす紫外線から逃れられない存在です。
 私たちの体内には、活性酸素の害から細胞を守るための抗酸化酵素が備わっているため、目も守られているのですが、加齢とともに体内の抗酸化力も低下してきます。また、活性酸素による血管の老化も目に直接影響を及ぼすため、注意が必要です。
 日々の習慣として、中高年の方々は、食生活の改善や運動とともに、紫外線の強い季節はUVカットのサングラスをかけたり、目を守るといわれる抗酸化成分を積極的に摂ると良いでしょう。

目の疲れを歳のせいとあきらめず、いたわる工夫を。
監修/坪田 一男先生
監修/坪田 一男先生 慶應義塾大学 医学部眼科学教室教授 南青山アイクリニック手術顧問 日本抗加齢医学会理事長

1980年慶應義塾大学 医学部卒業。角膜治療の第一人者。話題のレーシックやドライアイ、角膜移植の指導者として知られる。日本白内障屈折矯正手術学会常任理事。『老眼革命』(日本評論社)など著書多数。

著書紹介 老眼革命 日本評論社
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