幸せは、自分の心と体がつくる

サントリーは健康を科学する健やかな生活のための「教えて!先生」情報をお届けします。

人生が輝く歳の重ね方「幸せは、自分の心と体がつくる」

Q

これからの人生で、幸せを呼ぶ心の持ち方や人間関係の築き方って、
どのようにしたら良いのでしょうか?

A

幸せな気持ちになるために、必要なものは何でしょう?
それは人によって違いますが、お金などの幸福感は長く続きにくいもの。
むしろ、特別なことがなくても、「今日もいい一日だったな」と思える日々が大事――。
そう語る、心療内科医で医学博士の海原 純子先生に、
幸せを呼ぶ心の持ち方や人間関係の築き方、歳の重ね方を伺いました。

明日に向けて幸せへのワンステップを!

幸せを呼ぶ心の持ち方

「自分が持っているものに目を向け、
一日をていねいに生きると幸福感は高くなる」

 幸福の条件は人それぞれ。「○○があったら」幸せになれると考える人も多いのではないでしょうか。それはお金だったり、若さだったりするかもしれません。 しかし、私たち人間は手に入れた時は幸せでも、すぐに慣れて、それが当たり前になってしまいます。時間とともに目減りしていく幸福感ともいえるでしょう。
 幸・不幸を他人と比較する人もいますが、幸せは自分の心と体によって生み出していくもの。それは、冷蔵庫の中身に例えられるかもしれません。
 いつも食材で満杯だといいように思いがちですが、たくさんあっても食べ切れないし、奥の野菜に気付かずにだめにすることもあります。食材が少なくても、上手に使って美味しい料理ができた時は、ハッピーな気持ちになりますよね。 こうした“自分の心と体でつくり出す幸福感”は、目減りすることはないでしょう。
 ほかと比べるのではなく、まず“自分の冷蔵庫”にあるものを総点検し、上手に生かしていきましょう。 ささやかでも、こうした充実感やワクワク感を大切にしながら、その日一日をていねいに生きていく―。それが人生の楽しさではないでしょうか。

自分が持っているものに目を向けるヒント
「人生の締め切り」を意識してすごしましょう 「明日人生が終わってしまうのなら何が大切か」と考えると、今持っているもの、今できること、今ともに生きている人が大事に思えてきますよね。そうなると「これをやっておこう」「こんなことに時間を使っていられない」など、行動の優先順位がはっきりし、「生活密度」とともに「幸福感」も高くなるでしょう。

幸せな人間関係の築き方

「自分の気持ちを無理なく伝えられると、
人づき合いがスムーズになる」

 幸せに過ごすためには人間関係も大切な要素だと思います。苦手な人とは無理につき合わないのが一番ですが、誰でも人には良く思われたいので、いやでも断れないこともあるでしょう。
 でも、大事なのは自分の気持ち。心に問いかけて、いやな時には「ノー」と伝えるべきでしょう。ただ、相手の気持ちも配慮し、自分も相手も「イエス」と言える接点がないか探して提案してみるやり方もあります。
 例えば、旅行の前日に用事を頼まれたとします。
 「旅行だから無理! 急に言われても困ります!」
 ついこんな言い方になりがちですが、悪気がなくても相手は非難されたような気分になります。
 「週末は不在にしております。でも前もって言っていただければ大丈夫な時もあります」
 こうした、接点の可能性を残した「ノー」であれば、あまり悪い印象は残らないものです。
 自分の気持ちを無理なく相手に伝えることは、スムーズな人間関係の基本。それは、幸せに向かうための一つのカギになるでしょう。

人づき合いをより良くするヒント 困ったら、事実と感情を別々に書き出しましょう 人間関係がこじれそうな時やけんかを
した時には、ノートの上半分に起きた出来事を、下半分に自分が感じた気持ちを書いてみましょう。事実と感情を整理することで、状況を冷静に見つめ直すことができ、解決への糸口になるでしょう。

幸せな歳の重ね方

「凜として自分らしく生きる限り、
幸せに向かうエネルギーはいくつになっても目減りしない」

 年々、若いころのようにできないことも増えてきますが、ある年齢にならないと得られない喜びや楽しみもあるのではないでしょうか。「歳だから…」と自分の中に“境界線”を設けないで、時間に余裕がある年代だからこそ、やりたいことをやりましょう。
 大事なのは、結果よりプロセス。若いころから始めた人のようには上手にできず、やっても無駄という考えもあるでしょう。それは、錆びた刀を磨くようなものかもしれませんが、一生懸命磨いていれば、結果として刀は光らなくても、本人が輝いてくるものです。
 やりたくて行動するというのは、喉が渇いたら水を飲むのと同じで、心と体から自然に出てくる欲求。褒められなくても、実益にならなくても、自分はこれでいい――。そんな凜とした歳の重ね方ができたらいいですね。
 自分が少しでも進歩していると思えたら、それはとても幸せなこと。何かをできるようになったとか、許せなかったことが許せるようになったとか、皆さんにも思い当たることがきっとあるでしょう。
 例えば1年後に、また少し進歩した輝く自分と会うためにできることは何か、心を巡らせてみてはいかがでしょうか。

自分らしく生きるヒントA心と体をリセットする
「空白の時間」を持ちましょう 1日10分程度でも、何もせず、自分と向き合う時間を持ちましょう。心と体がリセットされて元気になり、気力やエネルギーが湧いてきます。時間がない時には、吐くことを意識した深呼吸をするのもおすすめです。
自分らしく生きるヒント@
初心者になって、何かに挑戦してみましょう  歳を重ねると、経験が豊かになる一方、やりたいことが分からないという声もよく聞きます。それは、まだやりたいことに出会っていないからかもしれません。初心者になって、何か新しいことに挑戦してみませんか。また、豊富な人生経験を生かし、人のために役立つことをするのも素晴らしいですね。
自分に磨きをかけて、より輝く一年に!