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シワが増えると、骨が折れやすい!?「骨の最新医学」

Q

たるみやほうれい線ができやすいのは、
骨密度と関係しているって、ホントですか?

A

骨密度の低下による影響は、猫背や骨折だけではありません。
あまり知られていないのですが、歳とともに表れてくる顔のシワやたるみも、
「弱くなった骨」が原因の一つ。骨の健康は、見た目の変化にも密接に影響していたのです。
“若さと骨”の研究を進める私がご説明いたします。

老け顔は骨密度の低下サイン!見た目の若さにも体の健康にも骨が影響!骨密度が低下 顔面骨の中で目の下と下あごの骨がやせてくる 骨を覆う筋肉や皮膚が余る たるみやほうれい線ができやすい

シワが増えてきたら、骨が弱ってきているサイン

 「見た目の若さは、体の健康状態の指標になる」 これが最新医学の考え方です。実年齢は同じでも、老化速度には個人差が大きいことが分かっていますが、見た目が老けている人ほど体内の老化も進んでいることが、近年の研究で明確になってきました。
 その見た目年齢を左右する重要な要素の一つが、顔を形づくる骨の老化です。骨の老化は、骨密度で評価します。
 顔と頭の土台となる頭蓋骨のMRIを撮ると、高齢の人ほど目の周り(眼窩がんか)の骨と下あごの骨がやせて、顔面骨全体が下の方に崩れてきていることが分かりました。その結果、目の下だけでなく、顔全体の皮膚がたるんでフェイスラインの輪郭がぼやけ、肌のハリが失われてしまいます。
 中でも下あごの骨が加齢とともに特にスカスカになり、やせやすいため、ほうれい線が目立ち、口元にもシワが寄ってきます(上図)。
 骨がやせてくるということは、骨密度が低下し、骨量が減ってくるということです。骨も皮膚と同じように、新陳代謝によって絶えず生まれ変わっています。骨を壊す破骨細胞と、骨を作る骨芽こつが細胞が交互にバランスよく働くことで、骨の健康は保たれていますが、新陳代謝のサイクルが遅くなったり、作るよりも壊す働きが強くなったりすると、骨密度の低下が進み、骨粗しょう症につながります(下図)。

骨も生まれ変わっている「壊す」と「作る」のバランスがカギ 健康な骨は、壊す作業と作る作業のバランスがとれていますが、壊す作業が作る作業よりも盛んになると、骨量が減って骨がもろくなります。それが「骨粗しょう症」です。正常 骨を壊す=骨を作る 骨粗しょう症 骨を壊す>骨を作る 骨の新陳代謝のサイクル 骨を壊す 破骨細胞が古い骨を削り、カルシウムを吸収します。骨を作る 骨芽細胞が、削られた部分にカルシウムを塗り固めます。
こんな生活が骨を弱くする!毎日の生活習慣が骨の老化に大きく影響しています 運動不足 骨は壊されることで作られるので、体に適度な負荷や刺激が必要。運動不足は骨を衰えさせます。偏った食生活
カルシウムをはじめ様々な栄養素をバランスよく摂らなければ、丈夫な骨を作ることができません。無理なダイエット 栄養不足に加えて、女性ホルモンの分泌低下を招き、骨量の減少につながります。日光をあまり浴びない生活 カルシウムの吸収や骨への定着に大切なビタミンDの不足を招きがちです。喫煙 カルシウムの吸収を妨げ、骨の形成を抑制するなど、骨量を減らす重大なリスクの一つです。

骨が弱くなると、全身がまるごと老けていく!

 顔の骨がやせてくると、顔だけでなく全身の骨密度が低下し始めていると考えられます。全身の骨粗しょう症が進行しつつあるサインともいえるでしょう。きびきび動くのも苦手になってきて、やがて転倒による手足の骨折や背骨の圧迫骨折につながりやすくなってしまいます。
 骨粗しょう症は閉経後の女性の病気だと思っている人も多いかもしれませんが、現代では若い女性にも見られ、男性も年齢とともに骨粗しょう症になっている人が少なくありません。
 また、骨密度の低下は骨だけの問題にとどまりません。近年は骨の細胞から様々なホルモンが分泌されていることが解明され注目されています。
 ホルモンは筋肉量を増やしたり、内臓の働きを促したり、血管の健康や免疫力を保つ物質。このような全身の機能の調整に骨も関わっていたのです。
 骨密度の低下によってホルモンの分泌量が不足してくれば、筋肉や内臓、血管などにも影響が及びます。つまり、骨が弱くなるということは、全身まるごと老化が進んでしまうということなのです。

骨も大いに関係あり!全身の老化速度には大きな個人差が!老化速度には個人差がありますが、体内の老化はすでに青年期から始まっており、そのスピードを決める要因の約20%が遺伝、約80%が環境によることが近年のアメリカの研究で明らかになりました。26歳の男性1000人を対象に12年間追跡調査した結果、実年齢は同じ38歳でも、体内年齢はまだ28歳の人やすでに61歳の人がおり、なんと33歳と親子ほどの大差がついていました。若さを保つためには生活環境がいかに大切かが分かります。

生活の改善で、骨は若返る!

 年齢とともに骨を作る力は衰えていきますが、骨にいい食生活の工夫や運動習慣で、いくつになっても骨を丈夫にできます。
 骨を作るために必要なカルシウムやタンパク質、カルシウムを骨に定着させるために大切なビタミンDやビタミンK、骨の新陳代謝に関わるマグネシウムや亜鉛、抗酸化作用で老化のスピードを抑えるカロテノイドもしっかり摂りたい成分です。
 運動でおすすめなのが「かかと落とし」です。かかとに体重の負荷がかかるので、その負荷に耐えようと骨も丈夫になろうとします。筋肉と同じで、骨も鍛えれば強くなるのです。
 骨の健康は誰にとっても一生の問題。食事の工夫と運動習慣で、骨を元気にする生活を心掛けましょう。  

骨に必要な7つの成分をしっかりと!それぞれの栄養素を豊富に含む食材を、バランスよく毎日の生活にとり入れましょう。1カルシウム 乳製品、シシャモ、高野豆腐、小松菜など 2タンパク質 肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆製品など 3ビタミンD サケ、ウナギ、キクラゲ、干しシイタケなど 4ビタミンK 納豆、ホウレンソウ、ニラなど 5マグネシウム 大豆製品、海藻類、アーモンド、そばなど 6亜鉛 カキ、ホタテ貝、牛肉、豚レバーなど 7カロテノイド ニンジン、カボチャ、ミカンなど
「かかと落とし」で骨密度アップを! 1日何回かに分けて50回を目安に まっすぐに立ち、かかとを上げ、足の力を抜いてストンと地面に落としましょう。イスやテーブルにつかまって行うと安全です。1つま先立ちになる 2かかとをストンと落とす 効果は劣るが、座って行ってもOK イスに浅く座り、背筋を伸ばして行いましょう。1片足を上げる 2かかとを落とす 左右交互に。片足ストンで1回 ※ひざに痛みや違和感がある場合は控えましょう。骨を元気に保って 見た目の若さと全身の健康をずっとキープしましょう!