かくれ不眠

サントリーは健康を科学する健やかな生活のための「教えて!先生」情報をお届けします。

もしかしたら、あなたも!?「かくれ不眠」

Q

心身の老化を進める心配がある、
「かくれ不眠」って知っていますか?

A

「かくれ不眠」とは、専門的な治療の必要はないものの、睡眠の悩みや不満を
抱えている状態です。深刻に考えず、放置している人がほとんどですが、
そのまま治療が必要な不眠症に進むことも少なくありません。
健康を脅かす入り口でもある「かくれ不眠」について正しく知り、
良い睡眠を得るための具体策について、私がご説明いたします。

「かくれ不眠」には5つのタイプがあります 1 生活不規則タイプ 忙しくて生活が不規則になり、睡眠が不足している 2 高ストレスタイプ 脳の疲れがとれないために、イライラしやすい 3 眠りが浅いタイプ  ぐっすりと眠れず、朝、寝足りない感覚がある 4 自分は大丈夫タイプ 寝なくても平気と思い、睡眠を犠牲にしている 5 初期かくれ不眠タイプ 寝ているつもりでも、十分な睡眠がとれていない

長引くと、不眠症につながる危険も…

 「かくれ不眠」は、専門的な言い方をすれば「軽度短期不眠」。不眠症ほど重症ではないけれども、きちんとした睡眠の質が得られていない状態です。ちょっとしたきっかけで、誰でも、いつでも陥る可能性があります。
 「かくれ不眠」には上記の5タイプがあり、いずれも共通するのは、そのまま放置している人が多いこと。しかし睡眠が十分にとれていないと、日常生活に様々な影響が出る恐れがあります。
 よく見られるのが、集中力や作業効率の低下です。これは、睡眠不足で脳が休息できず、睡眠中に行われるはずの情報の整理がうまくいかなくなるためです。また、自律神経の働きやホルモン分泌が乱れるため、めまいや疲労感、無気力などの症状を招きやすく、放置していると、生活習慣病や肥満とともに不眠症、うつ病などにつながることが分かっています。

負のループ かくれ不眠 ストレス 心身の老化

 さらに大きな問題は、うまく眠れないストレスが、睡眠の質をさらに悪化させること。この“負のループ”にはまると、「かくれ不眠」とストレスがお互いに影響を及ぼし合い、心身の老化を進める心配があります。

当てはまるものにチェックをしてみましょう  1個でも該当すれば、「かくれ不眠」の可能性があります 1.寝る時間は決まっておらず、毎日ばらばらである 2.平日にあまり寝られないため、休日に「寝だめ」をする 3.起きた時に「よく寝た」と思えない 4.寝つきが悪いことが多い 5.夜中に何度か起きてしまうことがある 6.思ったよりも早く起きてしまうことがある  7.よく昼間に居眠りしてしまうことがある 8.集中力が途切れがちで、イライラすることが多い 9.最近、面白そうなことがあってもあまりやる気が出ない 10.眠れないのは異常ではない 11.自分は寝なくても大丈夫な方だ 12.仕事が忙しいと、寝ないで夜遅くまでがんばってしまう ※10個異常チェックがある場合には、専門医への受診をおすすめします c睡眠改善委員会
そうならないように「かくれ不眠」の段階で、悪循環を断ち切ることが大切です。

質の良い眠りは、朝から始まっている

 私たちは、眠っている時間と起きている時間を別々に考えがちですが、睡眠と覚醒は表裏一体。お互いに深く関係し合っており、質の良い睡眠を得るためには、日中をどう過ごすかが重要になります。
 特に大切なのが朝。スッキリと起きられれば、日中を元気に過ごすことができ、夜の入眠もスムーズです。そのために取り入れたいのが、朝日を浴びることと朝ごはん。日光による刺激が脳に届くと体内時計がリセットされて、昼活動して夜眠るというリズムを刻み始めます。そして、朝食をしっかり摂ることで、頭と体が元気に働きます。
 良い睡眠への準備は、朝から始まっているといっても過言ではありません。その後の昼食と夕食を決まった時間に摂ることにより、体のリズムも整ってきます。

高年者は生活のメリハリが大事!仕事や家事から離れる時間が長くなると生活が単調になり、昼夜のメリハリがなくなってくることも、睡眠の質を低下させる大きな原因の一つです。そこで、下記のような生活習慣の見直しや工夫をしてみましょう。日中は、積極的に頭と体を使って活動的に過ごすことが、質の良い睡眠につながります。睡眠は1日1回が基本。昼寝をするなら20分まで起床時間と就寝時間を決める 曜日ごとにやることを決める 散歩をする 友人や知人に会う ほかにも・・・ ・買い物に行く・地域の催しに行く・片付けをする・ボランティアをする・趣味を楽しむ など

夜は、良い眠りへのカウントダウンで!

 夕食や入浴の後は代謝が上がり、体は活動モードになっています。そこで、寝床に入るまでに2時間はあけて、ゆっくりと心身を入眠モードに導きましょう。
 ただ、「眠らなければ」という意識が強過ぎると、かえって目がさえてしまいます。「楽しい・気持ちがいい」と思える時間を過ごしながら、下記のように、③→②→①と入眠へのカウントダウンをしていく。そんな自分なりの“儀式”をもつことも、スムーズな入眠のための有効な方法です。
 なお、忙しくて夜に時間がない時でも、きちんと食事・入浴をし、少しでもリラックスタイムをつくることをおすすめします。できることから、ぜひ取り入れてみてください。  

毎晩の習慣にしたい 入眠への3 2 1 食事・入浴を済ませた後 3 楽しいと思える時間を 例えば、その日の気分でこんな過ごし方を テレビや録画番組の鑑賞 適量のお酒 アロマの香り ハーブティー ほかにも・・・ ・読書や塗り絵 ・おしゃべり など 2 就寝前に一定の決まった行動を 例えば、こんなおやすみ前のルーティンを 歯磨き 明日の準備 お気に入りのお茶(ノンカフェイン)を飲む 1 寝床に入る ゆっくりと息を吐くことを意識すると、心が落ち着き眠りにつきやすい
良い眠りこそ健康の良薬。まず、朝と夜の過ごし方を見直してみましょう。