「脳の老化問題」への取り組み ~いくつになっても元気に働く“やわらか“アタマになるには~

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サントリー健康科学研究所 研究レポート #2 「脳の老化問題」への取り組み ~いくつになっても元気に働く“やわらか”アタマになるには~

歳とともにアタマがかたくなる・・以前からそう言われることがありますが、それは本当なのでしょうか?
近年、脳の働きや老化の研究が進むにつれて、動きが鈍くなる可能性があることが明らかになってきました。
実際に脳では、どんな変化が起きているのでしょうか?

脳の中には、神経細胞が無数に張り巡らされており、その細胞同士のネットワークによって、情報伝達が行われます。その神経細胞は長い手(軸索)をもち、先端部分(シナプス前膜)から神経伝達物質を放出することで次の細胞へと情報を伝達します。神経細胞は手の長さやシナプス数を自在に変えることができます。必要な回路は強化し、不必要な回路は弱めることで柔軟にネットワークを変化させることができるのです。

“やわらか”アタマになる秘訣は、細胞膜の“アブラ”にありました

私たちのカラダを形作る一つ一つの細胞は、血液や体液に溶けてしまわないよう、アブラの膜に覆われています。脳細胞も例外ではありません。近年、このアブラの膜のやわらかさが、シナプス前膜からの情報伝達物質のスムーズな放出に関与していることが分かってきたのです。

ポイントは、脳の細胞膜を構成するアブラのバランス

細胞膜を構成するアブラ(脂肪酸)には大きく2種類あり、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、細胞膜の不飽和脂肪酸が減ると細胞膜がかたくなります。大切なのはその2つの脂肪酸のバランスで、不飽和脂肪酸が減ってしまうと、神経細胞の膜がかたくなり、情報伝達の効率が低下するものと考えられています。

いいアブラを摂ってやわらかアタマに!

歳だから仕方ない!と諦めるのはまだ早いかもしれません。細胞膜のアブラはいくつになっても少しずつ入れ替わり、やわらかさを取り戻すことは可能なのです。
脳の神経細胞のほとんどは、生まれたときから変わりません。それでも、細胞膜のアブラを日々入れ替えることで柔軟性を維持し、情報伝達の効率を保っているのです。
特に、細胞膜のやわらかさに欠かせないといわれているのが、不飽和脂肪酸のARA(アラキドン酸)と、DHA(ドコサヘキサエン酸)です。
脳の細胞膜に不可欠なこのARAとDHAは、実は加齢とともに減少してしまいます。
ですから、毎日、意識的に摂り続けることが大切です。ARAは肉や魚などに、DHAは青魚に多く含まれています。また、DHAと同様に青魚に多く含まれるEPAは、血流を改善する働きが知られていますので、DHAとともに上手に取り入れると良いでしょう。

ARA・DHA・EPA。3つのオメガ脂肪酸で、やわらかアタマへのうれしい変化が!

上記で紹介したように、脳の細胞膜のやわらかさを保ち、情報処理に大切な働きをしているARAとDHA。長年、加齢と脳と脂肪酸の研究を続けているサントリーでは、ARAとDHAにEPAを加えた「3つのオメガ脂肪酸」を一緒に摂り続けるヒト試験を行い、情報処理速度の改善が期待できることを確認しました。

サントリー健康科学研究所では、3つのオメガ脂肪酸を約1ヵ月摂り続けたグループと、摂らなかったグループで、比較試験を実施。同じ刺激が加えられたときに、それを脳が認知するまでの速度に0.015秒の差があることを確認しました。
脳の情報処理速度は加齢により1年で0.001~0.0015秒ずつ遅くなるといわれていますので、単純計算すれば、その差は10~15年に相当することになります。日本人の約6割は、加齢によりARAが体内で作られにくくなることも分かっていますから、積極的に摂り続けていくことが必要なのです。

皆様の健康生活のお役に立つために、これからも脳と脂肪酸の研究を進めていきます

サントリーでは、約30年以上も前から、ARAの重要性を見出し、研究を続けてきました。本コラムでご紹介した3つの脂肪酸は、まだまだ脳の老化予防に役立つ可能性を秘めています。サントリー健康科学研究所は、脳と脂肪酸研究の先駆者として、皆様の前向きで自立した日々に貢献できるよう、これからも研究を続けていきます。